人間はお金が無くなれば物を選ぶ選択肢が削られてしまいますが、実はお金がないことで思考力までもが低下することが分かっているのです。
それは「住むところが無い」「餓死してしまう」などのそこまでの極限状態では無くても起きることであり、お金に余裕があることは正常な思考や判断が出来ることが分かっています。

お金がなくなると思考力が低下する?貧困によって引き起こす現象。

「何かを選択するには、同時に何かを諦めている」という機会費用を子供の頃に身に着ける事が金融教育では大事だと説いています。
しかし、お金が無くなるということは、そもそも選択すること自体が出来なくなってしまいます。
スーパーに行って何か商品を買う時は、同じ食材でもグレードの違う商品が幾つか陳列されていますが、選択すること自体が制限されてしまえば強制的に一番安い物しか買えなくなります。
もしくは買わないという選択肢しか残されていないのです。
お金がないことでこの「選択が出来ない」という現象が起こってしまいますが、これが予想以上に人間に強いストレスを与えることが分かっているのです。
お金が無くなれば思考力も低下する。

お金に余裕がなくなるとストレスだけでなく、思考力が低下してしまうのが科学的にも証明されているのです。
ハーバード大学とプリンストン大学の教授による実験の科学的証明。

それはハーバード大学のセンディル・ムッライナタン経済学教授とプリンストン大学のエルダー・シャフィール心理学教授が著書のなかで、ある実験結果を報告されています。
「あなたの車に不具合があって、300ドルの修理が必要になった。保険で半分だけカバーされるので、修理をするか、それとももう少し乗ってみるという賭けに出るか」
という架空の問題を出した後に、富裕層と貧困層で「認知能力」および「実行能力」を測る実験を行ったのです。
結果的にその問題では違いが無かったものの、修理の費用を300ドルから3000ドルに引き上げたところ、貧困層だけが結果が悪化したのです。
実験対象者を同一対象者にすることで実験の正確性の証明に。

その実験とはまた別にインドの農村地帯で農民に対してサトウキビの収穫前でお金が足りない状況のときと、収穫後でお金に余裕がある状況のときに、同じような調査を行っています。
最初の実験とは違い、実験対象者が同じであることでお金に余裕がある時とない時の違いを調べたのです。
結果的にはお金のない時に「認知能力」と「実行能力」が落ちることが分かったのです。
お金がないことで「貧困のループ」に陥る。

そしてお金がないことはそれだけに留まらず、さらなる「貧困のループ」を引き起こすことまで分かっているのです。
「貧困」そのものから抜け出すには「自己成長」が必要不可欠となってきます。
自分の目の前にコスパの高い自己投資のチャンス(機会)が現われた時、そのいざという時にお金が無いことでそのチャンスに投資することさえも出来なくなってしまうのです。
「貧困」には人の成長を妨げる要素がたくさんあるのが分かります。
自己成長にお金をかけて、資格を取ったり英語を学んだりと、様々な効率の良い選択肢を選ぶ事が出来るのに対して、お金がない事でもはや何も選ぶ余地すらも無ければ諦めなければならないことも沢山世の中にはあるのです。
お金が無くても現実的には図書館を活用したり、他にお金のない方法で代用することも出来ますが、そもそもが生活費を稼ぐのに必死な毎日になってしまえば、そんなことすらも考える余裕すら無くなります。
結果的に活力が無くなれば、効率の悪い方法でひたすら頑張ろうとしても、人間というのは意思の弱い生き物なので大概の人が上手く事が運ばなくなってしまうのが大半です。
お金に追われる生活を毎日していれば、もはや考える時間すらも与えられないわけですから。
この「お金」の問題は死ぬまで最も重要な課題であることは間違い無いです。
国が裕福か貧困かでも国民の生活状況もまるで変わってくるのですから、お金との適度な距離感を保つこと自体が非常に重要なのです。
昨年10月の増税とコロナショックの影響で、今まで稼げていた層も資金繰りが怪しくなり始めています。
そのような層が怪しい情報商材を売りつけてきたり、何かと支払いを遅らせてきたりと状況も変わってきています。
このような時だからこそ、そのような信頼を失ってまでお金を他人から奪い取るような行為に陥らないで、しっかりと環境に惑わされずに信頼を積み重ねていくことがとても重要なポイントだと思われます。
一度落ちた信頼を取り戻すのは並大抵のことでは中々取り戻せないものなのですから。
自分の中で今一度、何が正しくて何が間違っているのかを確立させ、他者への誠実さを忘れずに、苦しい時こそお金だけを追いかける人生にしないようにする必要があるのでは無いでしょうか。
綺麗事だけでは生きていけませんが、状況が良くても悪くてもブレない一本の芯を今一度自分の中で確立していく必要がありそうです。
結論:支出を極限まで減らして、「収入>支出」の生活を目指す。

まずは日々の生活の地盤を固めて、貧困の負の連鎖から脱出をすることが、余裕ある人生への一番の近道なのかもしれません。
貧困であることが理由で合理的な思考が取れなくなれば、消費者金融から生活費を借りるような日々を送ったり、クレジットカードのリボ払い地獄などにハマってしまう生活に陥ってしまいます。
合理的な思考能力で物事を判断出来ていれば、本来このような無駄にお金を搾り取られるようなサービスを利用する必要など無いのですから。
まずは収入に見合った支出バランスを考えて、ライフプランを今一度見直す事が大事なのでは無いでしょうか。
「支出が収入を超える事」自体がそもそも人生における金銭的余裕を無くす原因であることなので、収入源を増やすもしくは支出を減らす工夫が、貧困から抜け出す初めの第一歩なのであると言えるでしょう。
日々の小さな工夫が人生を好転させる一番の近道であるのですから。
コメント